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屋外広告(OOH)を出そう。その体制で大丈夫ですか?

ベトナムで事業をやっていて、ここぞという大勝負のタイミングで「屋外広告(OOH)を出そう」となる会社がある。デジタル広告とは文字通り桁が違う巨額の予算が動くわけだから、出すこと自体がかなり珍しい、社内の一大プロジェクトだ。 だからこそ、なぜか手続きの段階になると、経営陣やマネジメント層に妙な「油断」や「思考停止」が生まれてしまう。 「まあ、こういう現地の泥臭い手続きはローカルの事だし、うちのベトナム人スタッフに任せてしまおう」とか、「いつも別の件で取引している、勝手の知れたローカルの会社に頼んでしまえばいいや」といった具合に、安易に考えてしまうんだ。 特に、普段からSNSの投稿やデジタル広告を自社スタッフで回している会社ほど、この罠にハマりやすい。悪いことは言わないから、その「デジタルと同じノリ」や「ローカルだから何とかなるっしょ」という感覚は今すぐ捨てたほうがいい。 今の時代、SNSの投稿や広告出稿なんて、パソコンさえあれば誰でもできる。管理画面を開いて、予算を設定して、ボタンをポチポチ叩けばその日のうちに広告が世界中に配信される。ミスったらその場で修正すればいいし、止めるのも一瞬。それが、彼らが慣れ親しんでいる「デジタルな内製化」の感覚だ。 だけど、屋外広告の申請は、それとは全くの別次元、文字通り「別世界のゲーム」だ。 同じようにパソコンを使って、国家公務サービスポータル(Dịch vụ công)という画面に向かってはできそうだけれど、その先にあるのは冷徹なデジタルシステムじゃない。ベトナムの、極めてアナログで硬直した「お役所社会」そのものだ。 画面の向こうの役人は、こちらのビジネスのスピード感や、どれだけ巨額の予算がかかっているかなんて、これっぽっちも気にしてない。書類の文字が1文字ズレている、専門図面の線の引き方が気に入らない、そんな理由で容赦なく、しかも何度も何度も差し戻してくる。SNS広告みたいに「とりあえず出して、後から直す」なんて概念は存在しない。 ここで一番恐ろしいのは、経営陣から「ローカルの仕事だからよろしく」と任された自社スタッフや、専門外なのに「いつもの取引だから」と引き受けてしまった会社が、何が正解か分からないまま、役所との板挟みになって精神的にすり減っていくことだ。彼らが悪いわけじゃない。ベトナムの屋外広告の審査には、明文化されていない「現地のローカルルール」や「担当者のさじ加減」がめちゃくちゃ絡んでくる。昨日まで通っていた書き方が、今日突然ハネられるなんて日常茶飯事。そんな泥臭い暗黙のルールに、ただ「パソコンが使えるから」「現地人だから」「いつもの付き合いだから」というだけのノリで太打ちできるわけがない。 現場で見ていて本当にゾッとするのは、「何がどうなっているのか、誰も分からないまま、あやふやに進んでいる状態」が何ヶ月も続くことだ。 任されたスタッフも「一応、書類は出しました」「今、役所の返事待ちです」としか報告できない。だけど、ベトナムの役所は「ここがダメ」と親切にフィードバックしてくれるわけじゃないから、実はとっくの昔に書類がハネられて、審査の手が完全に止まっていたりする。スタッフ自身も専門外だから何が正解か分かってないし、何が原因で滞っているのかを経営陣に説明すらできないんだ。 経営陣も「まあ、ベトナムの行政手続きだし、時間がかかるのは仕方ないか」と、そのあやふやな状況をズルズルと受け入れてしまう。これが一番の罠。 気がついたときには、看板を出すはずだった絶好のシーズンが終わっている。だけど誰も「自分が失敗した」とは言えないから、なんとなくプロジェクト全体がフェードアウトしていくか、あるいは「最初からやり直し」になって、さらに膨大な時間が溶けていく。

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