【ホーチミン現場日記】進化するベトナム消費者と、街角の「ツルハドラッグ」から見えてくるこれからの販売戦略

最近、ホーチミンの街をバイクで走っていて、ハッとさせられることが多くなりました。

かつては「日本の日用品・化粧品」というだけで飛ぶように売れていた時代がありましたが、今のベトナム市場は明らかに次のフェーズ、それもものすごいスピードで進化しています。

今日は、日々の業務の中で感じる「ベトナム人消費者のリアルな変化」と、現場で勝ち抜くためのマーケティングの裏話(最新の広告法規や手続きのリアルな話も交えて)を書き留めてみたいと思います。

街のど真ん中で奮闘する「ツルハドラッグ」の凄さ

最近、個人的にもよく立ち寄るし、ビジネス目線でも「本当にすごいな」と応援したくなるのが、ホーチミン中心部で展開している「ツルハドラッグ(TSURUHA Drug)」です。

外資系リテールの多くが大型ショッピングモール内を中心に出店する中、ツルハさんは市民やワーカー、観光客が行き交うホーチミン1区のリー・トゥ・チョン(Lý Tự Trọng)通りをはじめ、市民の日常生活や移動導線に合わせた「路面店」形態を軸に勝負されています。

これ、ベトナム市民の足である「バイク」からサッと降りて立ち寄れる、ものすごく理にかなった利便性の高い戦略なんですよね。

店内に入ると、1階には専門スタッフや薬剤師さんがいて、肌悩みや成分についてじっくり相談できる。そして2階に上がると、トイレットペーパーから食品まで日常使いのものがズラリ。「専門的な相談」と「いつものお買い物」がバイクを降りて1か所で完結するこのスタイルは、ベトナムの商習慣や生活導線に泥臭く、そして優しく寄り添っていて、同じ日系企業として非常に頼もしく感じます。

「有名だから買う」から「成分に納得して買う」時代へ

ツルハさんのような「じっくり相談できるお店」が便利で支持されるのには、明確な理由があります。今のベトナムの若い世代(Gen Zやミレニアル世代)は、本当に賢いんです。

TikTok Shopや美容系KOLの動画を見て、日焼け止めの「PA/SPF」の違いはもちろん、「ノンシリコンなのか」「ナイアシンアミドが入っているか」といった成分までしっかりチェックしています。過去に市場に偽物があふれた経験もあるため、「これは本当に公式の正規品か?」を見る目もシビアです。

つまり、「自分にどんなメリットがあるのか、なぜこの価格なのか」を店頭でしっかり腹落ち(理解)させないと買ってもらえない時代になっています。

これからの潮流:MTとGTを同時攻略する「全方位」アプローチ

ここで、私たち広告会社によくご相談いただくマーケティングのヒントについてお話しします。

これまでは「まずはMT(ドラッグストアや現代型スーパー)でじっくりブランディングを行い、認知が高まってからGT(ローカルのパパママショップ)へ展開していく」という段階的なロードマップが一般的でした。

しかし、消費者の情報感度が高まり流通のスピードが加速している現在では、「最初からMTとGTの双方を視野に入れた全方位アプローチ」をとるブランドが、よりスピーディーにシェアを拡大するケースが増えています。

ベトナムの消費者は、日常の中でMTとGTをとても上手く使い分けているからです。

  • MT(ツルハ、Guardian、Hasakiなど): 休日に新商品をじっくり比較したり、専門スタッフに相談して「納得・理解」して買う場所。
  • GT(近所の個人商店など): 平日の仕事帰り、日常使いのアイテムをサッと「買い足す」場所。

【ベトナムのリアルな買い物行動】

SNSや街の看板で知る

休日にツルハ(MT)に行って実物を試し、納得して買う

気に入ったら、次は近所の個人商店(GT)で手軽にリピート買いする

このように消費者の生活導線にMTとGTが自然と組み込まれているため、「休日に試して気に入ったものを、普段の生活圏でもすぐ買える環境」を初期から整えておくことが、機会損失を防ぎ、ブランドのファンを定着させる大きなポイントになっています。(例えば、MTには大容量ボトルを置き、GTには買いやすい1回分のパウチを置く、といったチャネルごとの工夫が効果的です)

【実務ガイド】ベトナム広告コンプライアンス「3つの視点」

街中での屋外看板(OOH)や、店舗でのPOP・デジタルサイネージを展開するにあたり、避けて通れないのがベトナム広告法および関連省庁(政令342/2025/NĐ-CP等)の規制です。

実務上は、以下の3つの視点に分けて整理・確認を行うことで、安全かつ確実な出稿が可能になります。

  1. 媒体側の手続き(Media Compliance)
  2. 商品カテゴリ別の規制(Product Compliance)
  3. 表現・クリエイティブ(Creative Compliance)

Step 1. 媒体側の手続き(Media Compliance)

出稿する広告媒体の構造や特性によって必要となる行政手続き・条件が異なります。

媒体形態法的手続き・要件留意ポイント
OOH(看板・バナー)事前通知手続き ・広告実施日の15日前までに、地方の広告行政所管当局へ通知書類を提出。
・当局による書類受理確認後、5営業日以内に回答がない場合、通知した広告を実施可能。
屋外LEDスクリーン設置条件の確認+建設許可 ・地域の屋外広告計画および設置条件の遵守
・音声の使用禁止、交通安全を阻害しない輝度制限
・規模や構造に応じた建設許可の取得
大型OOH(建設物・ billboard)建設許可および品質検査 【重要】広告通知とは別に以下の場合、建設許可が必要です:
・屋外LEDスクリーン:1面の面積が20㎡以上
・既存建築物への設置:1面の面積が20㎡超(金属フレーム等を使用する場合、建築物の品質検査要件にも注意が必要)
・独立型看板(Billboard):1面の面積が40㎡以上
店内POP / サイネージ店舗規約+一般広告法 一律に行政への事前申請(広告内容確認書)が必要というわけではありませんが、店内広告であっても広告法規や商品別規定の適用対象となります。
💡 実務上のポイント:
屋外広告の実施にあたっては、ベトナム全国共通の広告関連法令のほか、各省・市が独自に策定する「屋外広告物計画」や自治体ごとのローカル手続きも個別に確認・遵守する必要があります。

Step 2. 商品カテゴリ別の規制(Product Compliance)

広告する製品の分類によって、法的記載事項や遵守条件が定められています。

商品カテゴリ広告上の主な法的要件・制限事項
化粧品・パーソナルケア ・化粧品製品届出書(Phiếu công bố sản phẩm mỹ phẩm)に記載された製品の性質・分類・機能・用途と広告表現を一致させる。
・医薬品と誤認させる表現は禁止。
・医療機関、医師、薬剤師、その他医療従事者の画像、制服、氏名、書簡、記事等を広告に使用することは禁止。
健康保護食品(サプリメント) ・「Thực phẩm bảo vệ sức khỏe(健康保護食品)」のカテゴリ表示が必須。
・「本製品は医薬品ではなく、医薬品の代替となるものではありません」の注記必須。
一般食品・清涼飲料水 ・商品名、表示責任主体の名称・住所等の正確な表示。
・品質、効果、原産地についての虚偽・誤認表現の禁止。
一般消費財・家電・日用品 ・消費者に対して真実・正確・明確な情報提供を行う一般規定の適用。

Step 3. クリエイティブ表現のチェック(Creative Compliance)

媒体や商品カテゴリを問わず、すべての広告表現に適用される基本原則です。

  • 優位性・最上級表現(No.1 / Best / 唯一 など):
    客観的かつ法的に有効な証明資料がない状態での「No.1」「最高」「一番」等の表現は禁止されています。
  • 定量的・環境訴求表現(100%除菌 / Eco / 100%天然 など):
    「広告内容は真実・正確・明確であり、消費者に誤認を与えてはならない」という原則に基づき、「100%除菌」や「Eco」といった主張には合理的な試験データや裏付け根拠が必要です。
  • 比較広告のルール:
    他社の同種製品と比較する場合、比較内容を裏付ける法的に有効な証明資料が必要です。不当な比較や競合製品を不当に貶める表現は禁止されています。

さいごに:攻めと守りの両立を

変化の激しいベトナム市場。ツルハドラッグさんのように現地の生活に溶け込む「攻め」の姿勢と、複雑な広告ルールをクリアする「守り」のコンプライアンス。この両輪が回って初めて、ベトナムの賢い消費者たちに受け入れてもらえます。

「うちの製品(化粧品・食品・家電など)はどんな広告手続きが必要?」「大型看板を出したいけれど建設許可や自治体の計画はどう確認すればいい?」といったお悩みがございましたら、ぜひ私たち清工舎ベトナムにご相談ください。

屋外看板の設置・建設許可の確認から、役所への広告通知、各自治体のローカルルールの照会、そしてベトナム人に「刺さる」デザイン作りまで、ホーチミンとハノイの現場からしっかりサポートさせていただきます。美味しいベトナムコーヒーを淹れてお待ちしておりますので、お気軽にご連絡くださいね!

【お問い合わせ先】

SEIKOSHA VIETNAM CO., LTD(清工舎ベトナム)
WEB問い合わせ:https://skv-vn.com/lp-jpn-skv.html#contact

  • [ホーチミン本社]
    Room 7.1, 7th floor – GMA Building, 307/6 Nguyen Van Troi Street, Tan Son Hoa Ward, HCMC
    TEL:(+84) 028-6291-4907
  • [ハノイ支店]
    22nd Floor, Ngoc Khanh Plaza Building, No. 1 Pham Huy Thong Street, Giang Vo Ward, Hanoi City, Vietnam

【免責事項・ご相談にあたっての注意点】

本記事に掲載しているベトナムの広告規制・行政手続き等の内容は、概要を分かりやすく解説したものです。実際の広告運用やクリエイティブ制作においては、商品カテゴリの細分化や媒体特性(動画における音声読み上げ義務の有無など)、さらには公認機関が発行する証明資料の取得要件や自治体ごとの最新条例等により、適用される規制やリスク判断が大きく異なる場合があります。

法令違反や出稿差し止めのリスクを未然に防ぐため、実際の広告展開にあたっては事前に個別のご確認・ご相談をお願いいたします。

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